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無常 ~前を向く力の源~   (2018-, 制作中 )

 

 

 

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川を流れる水はひと時も同じではない。草木も芽吹いては枯れ、死と再生を繰り返す。「無常」とは全てのものが絶えず変化し続けることをいう。中世以来、千年に亘り培ってきた日本人の美意識の一つである。

 

千年前につくられた石仏群を訪ねたとき、私は「すべてが常ならず、移り変わっていく」という想いを抱いた。数えきれないほど繰り返されてきた人の生と死、人々の深い思い、権力を持つ者の成功や没落、家族の悲しみなどが石仏から伝わってきたからである。辛い境遇がいつかは良くなることを願った大昔からの人々の切なる願いが立ち昇ってくるように思えた。

 

日本では過去から数多くの自然災害や政権争いによる戦争をたくさん経験し、多くの人が犠牲となった。多くの死や悲しみを経験する中で、それをいつまでも心に留めて悲しみ続けていても何も生まないことを古来より受け継いできた。その中から無常観というものが生まれたのだと思う。

永遠には続かない成功に慢心してはならないのと同時に、不幸に引きずられ続けていてはならない。つまり、無常観とは前を向く力の源泉であるともいえる。過去の辛さや悲しみに心を砕かれながらも、その出来事を運命として受け入れ、将来に向かって少しずつ気持ちを切り替えようという人生の知恵でもあるだろう。

 

咲く花は必ず枯れる。しかし、次の年には再び美しい花をつける。今が辛くてもきっと良いときが訪れることをすべての人々の心に持ち続けていてほしい。

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